ラジドラ台本ワンライチャレンジby花屋敷 第51作目

おはこんばんにちは! 放送班・制作班・広報班所属文学部2回生の木村英です。

実は先週の金曜日から本日まで、母と2人で香川県は小豆島に2泊3日で旅行に行っておりました!そこから帰ってきて今こうしてダダダッと打ち込んでいるのであります。小豆島といえば、私たちはエンジェルロードを思い浮かべるのですが、それは昔『ラブレター』という小説・ドラマがございまして。その舞台となった場所なんですね。その『ラブレター』の物語が母娘で好きで……いつか行こうねと言っていたものがようやく実現したのでした。


さて。今週の「ラジドラ台本ワンライチャレンジby花屋敷」のお時間です。51!なんだか肉まんの香りがします。折り返し地点から一歩進んだ今回はちゃんとテンプレ通りです。以下テンプレ。

このコラムは”花屋敷”というペンネームを使っている私、木村英が1時間でがんばってラジドラ台本書くぜ!というものです。より詳細な説明は第1作目で無駄に長く書いているので、気になる方はそちらを確認していただけると幸いです。

またチャレンジするにあたり、縛りをつけています。

名前メーカー様:ここで「名字の珍しさ:やや珍しい」だけを指定して出てきたお名前を、登場人物の1人として出します。

②お題ガチャ様『ひとこと台詞ガチャ』:ガチャ結果で出た台詞を途中で必ず使います。

今回は①名前:芝崎近夜(しばさきちかよ)、北條智(ほうじょうさと)、②「人は相手に自分の影を見る、そのせいで人は自分を光だと見誤る」です。今回は素敵なお名前が2つあったのでどちらも使っちゃうことにします!以下に載せる台本は1時間で制作したものです。誤字脱字誤用等あるかもしれませんが、お許しを。よ~い、スタート!


人物設定(執筆後作成)

  • 近夜(ちかよ):画家。小学校からの親友である智に惚れ込んでおり、15年間の時を経て、ようやく描くと決心した。
  • 智(さと):ピアニスト。小学校からの親友である近夜に描いてほしいと思っていたがモデルの依頼をされず、もうそろそろ諦めるかと思っていたところで声がかかった。

智「近夜ちゃん、こんな感じでいい?」
近夜「そこで……あぁいや、もう少し顔を傾けてくれるか、そっちじゃない、そう、……そこ」
智「この角度保つのしんどいんだけど」
近夜「がんばってくれ、智」
智「え〜」
近夜「……」
智「……近夜ちゃん」
近夜「なんだ、智」
智「もう少し顎下げていい?」
近夜「ダメだ」
智「うえぇ〜なんで?」
近夜「智のフェイスラインがよく見えるんだ、そのままでいてくれ」
智「私のフェイスライン……? まぁ私美人だからね!」
近夜「……あ、智、手握りこまないでくれ」
智「じゃあスルーしないでよ……さみしすぎるじゃん……」
近夜「……智は綺麗だよ。どこを取っても綺麗だ」
智「唐突に口説かれても困る」
近夜「口説いてないさ、私の心からの気持ちだよ」
智「口説いてるー」
近夜「口説くならもう少しがんばるさ」
智「……わぁ」
近夜「ふふ、引かれると、さみしいな?」
智「近夜ちゃん知ってる? 近夜ちゃんってふだん無口だからちょっと怖がられてるんだよ? でも喋ると変なことしか言わないから喋らない方がいいと思うよ」
近夜「そうか、なら智にだけにしよう」
智「……お口が達者なことで」
近夜「賞賛すべきところがたくさんある智が悪いんじゃないか?」
智「責任転嫁やめてくださーい」
近夜「……本当に、智は綺麗だよ。私が君に出会ってから15年、ようやく君を描けるようになったと思ったほどに」
智「……嬉しいけどね? そんなにかなぁと思ったりもするよ。たしかに綺麗だなんだとは言われることはあるけれど、いわゆる絶世の美女ではないことはたしかだからさ」
近夜「美とは何かという話をすると長くなるから言わないけど、日常においては美とは主観的でしかない尺度だよ」
智「じゃあ近夜ちゃんの中の尺度はずいぶん私贔屓だね」
近夜「ふふ、そうかもね。智に出会った一瞬で私の尺度はカンストしたんだ」
智「……近夜ちゃん」
近夜「なぁに、智」
智「それこそ近夜ちゃんに出会ったときから思ってたんだけど、どうして近夜ちゃんは絵を描いてるの?」
近夜「絵を描く理由?」
智「そう」
近夜「……んー、じゃあ、智は、どうしてピアノを弾いてるの?」
智「え、質問で返してきた」
近夜「ごめんね」
智「えー……そうだな、弾きたいから、っていうのが一番だけど、それじゃあ理由にならないもんね」
近夜「私が智の質問にそう答えていいなら理由になるけれど」
智「この際だからちゃんと聞きたいんだよねぇ、うーん……」
近夜「ふふ、この際だからちゃんと考えるといい」
智「……弾きたい、んだよね。それがどうしてかって言うと……、……人の演奏するのを聴いて、私ならこうやって演奏するのに、って思うからかな」
近夜「というと?」
智「私ならもっと抑揚つけて、逆に抑えて、もっと素早く、もっともったいぶって、間を縮めて、音を伸ばして……ってするのに、って思うから、私は弾いているのかも」
近夜「曲を、もっと素敵に聴いてほしい?」
智「うーん、それも、ある。でも結局はこれが私なりの弾き方って見せて、賛同してほしいだけなのかも。曲の事なんて実際はどうでもよくて、私が弾いているのを聴かせたいだけ」
近夜「素敵じゃないか」
智「そう? 近夜ちゃんは私贔屓だからなー、ちょっと信じられないな」
近夜「どうして? ダメなのか、自分を見せることは」
智「芸術に対して、なんだか失礼なことをしている気分にはなるよ、そう考えると。何事も、私利私欲のために使っているんだって自覚するとね」
近夜「そうかな」
智「もう、じゃあ、近夜ちゃんはどうして絵を描いてるの? 今度は答えてくれる?」
近夜「あぁ……答えようか」
智「なぁに?」
近夜「私には、人間が神に見えるんだ」
智「……ほう」
近夜「意味がわからないという顔だな。その眇めた目も綺麗だよ」
智「なら聞いていいの? どういう意味?」
近夜「まぁ、私も最近やっと纏まってきたことだからね。うまく説明できるとは限らないが……ほら、私が誰かをモチーフにして描くときは、その人を窓側にするだろう? 時々見学に来てくれているからわかると思うが、ちょうど今の智のように」
智「そうだね」
近夜「それには特別な意図はなくて、ただキャンバスにできるだけ影が落ちないようにっていう目的だけだったんだが、どうもね」
智「……なに? 眩しそうにして」
近夜「君たちを窓側にすると、後光が差すように見えて……初めはもちろん錯覚程度だけど、集中すると、私が描いているのは人の姿をしている神かもしれないと思い込みはじめてしまうんだ」
智「後光程度で?」
近夜「手厳しいな」
智「だって……そんなことある? 何も神は光だけではないでしょ」
近夜「それはその通りだが……なんて言ったものかな」
智「がんばって。気になるから」
近夜「うん……。いやなに、描き続けていると、彼の、私が描いている彼の傲慢な部分が見えてくるんだよ」
智「傲慢な部分?」
近夜「彼は、私が頼んでモデルをしてくれている。微妙に力の入れにくい体勢でストップをかけられて、その姿で数十分はいなくてはならない。……そして、背後から光」
智「うん」
近夜「……彼は、私に影を見るんだろうね」
智「影? あぁ、光が差すから? 近夜ちゃんが影になるほどなんて、けっこうな西日だね」
近夜「そうじゃない。物理的には間違いではないが、そういうことを言いたいんじゃない」
智「えぇ? じゃあ、影、劣等感、的な? あーだから、モデル側としては、優越感的な」
近夜「あぁ、それは近いね。人は相手に自分の影を見る、そのせいで人は自分を光だと見誤る。彼は、私を影だと見て、気分が高揚するんだ」
智「……でもそれは、近夜ちゃんの考えすぎというかなんと言うか。やたら神秘的に聞えるね」
近夜「そうだと思うよ。私も自分勝手な解釈だと思う。だが、彼が傲慢であることは悪いことではなくて。とにかく私には、そうなった彼らが神に見えるから、描かなくてはならないと使命感に駆られるんだよ」
智「なんの使命感?」
近夜「描き残さなくてはならないという使命感。降りてきてくださっているんだから」
智「……知らなかったんだけど、近夜ちゃんってもしかしてキリシタン? それとも別のとこ?」
近夜「キリシタンでも他の宗教の信者でもないよ。ただただ、画家さ」
智「画家なのね。……そうだとしたらさ、私思ったんだけど近夜ちゃん」
近夜「なぁに?」
智「近夜ちゃんは私たちモデル側が光だと見誤るって言ったけど、それなら傲慢なのは、むしろ近夜ちゃんの方じゃない? 自分が神と相対できる人間だと、自分のことを思っているんでしょ? 自分を、影だと思っているのに」
近夜「む」
智「あれ、思い当たらなかった? それなら、なおさらかも」
近夜「……それは、たしかにな。ならば、だから私は描いているのかもしれないな」
智「私利私欲?」
近夜「私利私欲だ。私利私欲のために、絵を……そして神を、私は使っているようだ。智からすれば、私の方が大罪人ではないか?」
智「罪ではないけども」
近夜「……いや、うん、いやそうだな」
智「近夜ちゃん?」
近夜「いや……だから、私は、智を描きたいんだろう」
智「私?」
近夜「私が出会った人間の中で、一番智は美しい。私は、より美しい神に会いたいのかもしれない。そうして美しい神を描いて、キャンバスに収めて、私利私欲のために楽しみたいのかもしれない」
智「……そういうことに神を使うのは、どうかと思う」
近夜「智はえっちだな」
智「そんなこと言ってないでしょ!」
近夜「そうか? まぁその話はいいとして……智、続き、いいか?」
智「……なんか、この話聞いたあとだとちょっと恥ずかしいじゃん! いいよっ!」
近夜「ふっ、ありがとう。……智。綺麗に描くよ、私の15年間は、君を描くために費やしたんだ」
智「そういうこと言うのやめてってばだから……」


チャレンジ成功……なのでしょうか、成功にしておきましょう!

だいぶ急ぎ足で書いたので、かなり手癖の出たお話になってしまいました。台詞が素敵だったのでもっとちゃんと練りたかったのですが、時間切れでございます。南無。

なんか女の子2人だったら、いつも片方が片方を口説いてる気がする。なんでー?(手癖)

それでは本日はこのへんで。もしこういう話を読んでみたいとか、もう少し説明してとか、いろいろお話したいこと、聞きたいことがありましたら、コメント欄に書いてくださったらうれしいです!

3月ももう終盤です!困った!


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