ラジドラ台本ワンライチャレンジby花屋敷 第32作目

おはこんばんにちは! 放送班・制作班・広報班所属文学部2回生の木村英です。

そういえば中秋の名月が過ぎてましたね。こうは言うものの、私はしっかり十五夜のお月さまを見たんですよ。雲がかかっていて、でも光ってるからどこにあるかはわかるようなそんな空でしたが、家族全員で見上げながら待っていたら、雲間からゆっくり徐々に顔を覗かせてくださいました。そんな私の今日のお昼ごはんはお月見バーガーです。楽しみ。


さて。今週の「ラジドラ台本ワンライチャレンジby花屋敷」のお時間です。32は24と同じものを感じます。こちらは偶数でしか割れないですけども。以下テンプレ……と行きたかったんですが、悲しいことがあり気分がノらないので、誠に勝手ながらキャラの縛りをなくします。これぐらい緩く行かないと毎週ワンライチャレンジなんてできないのです。

このコラムは”花屋敷”というペンネームを使っている私、木村英が1時間でがんばってラジドラ台本書くぜ!というものです。より詳細な説明は第1作目で無駄に長く書いているので、気になる方はそちらを確認していただけると幸いです。

またチャレンジするにあたり、縛りをつけています。

キャラデザお題ガチャ様:登場人物のうち1人をガチャで出た性格・設定にします。

②お題ガチャ様『ひとこと台詞ガチャ』:ガチャ結果で出た台詞を途中で必ず使います。

今回は②「好きに理由なんかないさ」です。とても素敵な言葉!理由のあるのも私はとても素敵だと思いますけどね。以下に載せる台本は1時間で制作したものです。誤字脱字誤用等あるかもしれませんが、お許しを。よ~い、スタート!


人物設定(執筆後作成)

  • 夢音(ゆめね):アイドル。希羽とグループを組んでいる。ファン第1号がとてもいい人だった。希羽ちゃんがとてもしっかりしているので、安心しきってしまうことがままあるのは自覚している。「あなたに、夢の音を届けるよ!ずっと楽しく日々を過ごせますように!」
  • 希羽(きう):アイドル。夢音とグループを組んでいる。夢音にちょっと不思議ちゃん要素が入ってるいるので時々不安になることもあるが、夢音を選んで仲間にしたことには自信と誇りを持っている。「あなたに、希望の羽を授けよう。何事も諦めなくていいのさ」
  • ファン(ふぁん):夢音の1ファン。ふつうのファン。仕事における評価は高い。それもすべては夢音のためという、ただのファン。

ファン「夢音様。
拝啓。
暑さ寒さも彼岸までと申しますが、暑さもおさまり涼しくなってまいりました。暑がりの貴女には過ごしやすい季節になってきたのではないでしょうか。貴女の好きな金木犀の香りが漂うようになるまでは、もうしばらく日数がかかるかもしれないですね。
さて、先日のライブ、お疲れさまでした。私は仕事があり、残念ながらライブの後半からしか見ることができなかったのですが、ファン仲間から、前半も変わらず貴女はとても素敵だったと聞いております。後半だけでも充分にそのことが感じられたので、その通りなのでしょう。さすがですね。ライブの一週間前に喉に違和感があると仰っていて、3日ほどで治ったとSNSで呟いていらっしゃいましたが、貴女は少しでも喉に負担があると尾を引くタイプだったとずっと昔にではありますが仰っていたと思いますのでやや不安だったのですが、まったくもってそんなことはなかったようで、安心いたしました。やはりもう昔の話なのでしょうね。嫌なものです、あまり昔に縛られては、界隈で老害などと罵られてしまいそうです。気をつけますね。
あ、ところで、夢音ちゃんは『後方彼氏面』という言葉をご存知ですか? 先日SNSで目にした言葉なのですが、『イベントやライブの会場の後方で彼氏面をしているファン』のことを指すらしいです。この“彼氏面”とはなんぞや……と疑問に思っていると、フォロワーの方に教えていただけました。どうやら、『推しアイドルのことを詳しく知った気になって、自分だけは理解しているから、いろんな悩みや困ったことがありつつもがんばっていることを知っているから』などと思い込むことを言うようです。特徴としては腕組みをして、前方でアイドルと一緒に盛り上がってるファンのことを『まだまだだな……』などと呟くということがあるようです。なんともおもしろい話ではあったのですが、どうやら私の行動がその後方彼氏面にあたってしまうことがあるようです。長年協力してきた仲の良いフォロワーの方に気をつけるよう指摘されてしまいました。先日のライブ、後半しか参戦できなかったとさきほど述べましたね。そのときこそそうだったようです。思い返してみれば、たしかに、途中参戦だったため最後列から前には行かず、何度も聞いたことのあるツアーの定番曲だったため歌よりも貴女の動きを集中して観察し、貴女の新しいファンサにその苦労が窺い知れて感心してつい口から呟きが漏れてしまったかもしれません。ですが、夢音ちゃん。信じてほしいのは、前回が特殊だったことです。いつもは開場とぴったりに会場入りしていますので、最後列に並ぶなんてことはないのです。たまたま偶然が重なって後方彼氏面に相当するようなことをしてしまったようです。どちらかというと蔑称のような雰囲気も感じましたので、夢音ちゃんも嫌でしょうし、このようなファンにならないように注意しますね。ただ、そうすることで新たな悩みがひとつ浮上したのです。最近とても人気が伸びてきた夢音ちゃんのファン層は、少しずつ、ですが目に見えて、若年層化してきております。女性も増えてきています。とても素晴らしいことで、世の中の若い子たちが夢音ちゃんの魅力に気づきはじめたのは1ファンとして大変喜ばしいです。そこで問題になるのが、私のような大柄の中年男が最前列にいると、そういった新規のファンの方の視界を妨げてしまうのです。私はそんなことを望みませんので、これからは後ろの方、少なくとも端の方に移動しようと思います。ですので、悩みとしては、そうした結果後方彼氏面にならずにいられるかということなのですが、これは自分自身が気をつけることでどうにかなる問題ですよね。ですので、夢音ちゃんに相談するようなものではありませんね。……でも、新曲発表のときだけは最前列に行ってもいいでしょうか? 貴女のどんな一番最初も、私に見せてほしいのです。貴女が見せてくれる貴女のことだけでいいので、魅せてほしいです。わがままだとは重々承知しておりますが、なにとぞ許していただきたいです。
次のライブも、もうすでに決まっておりますね。しかも次は収容人数の規模がほぼ2倍だとか。どんどん貴女の夢の音の輪が広がっているのを感じられて嬉しい限りです。お身体には気をつけて。特に、乾燥してくる季節でもありますので、高い空を見上げたまま、喉まで乾燥させないように。
それでは、また夢音ちゃんに会える日を心待ちにしつつ。
かしこ。
貴女を応援している1ファンより」

希羽「夢音、準備でき……なに読んでるの?」
夢音「あ、希羽ちゃん。もう行くの?」
希羽「うん、もう次の現場行かなきゃってマネージャーさんが。それ手紙? ファンレター?」
夢音「うん、そうだよ。私の大事なお手紙」
希羽「いいねぇ。……え、もしかして、大事な人からの、っていう意味?」
夢音「うん」
希羽「ってまさかね、ファンレターはどれも大事だもんね~。って、えっ?」
夢音「私の、一番大好きな人からの、お手紙なの」
希羽「ちょっと……、夢音ってオキニ作るタイプだっけ。やめといたほうがいいよ?」
夢音「オキニじゃないもん」
希羽「違うの? あ、じゃああれ? 家族からとか?」
夢音「そうでもないけど」
希羽「もうなんなのよー……。まぁ言いたくないなら聞かないけどさ、スキャンダルとかやめてよね」
夢音「しないしない。ふふ、ほんとに安心して? 希羽ちゃん。私一途だから」
希羽「ファン全員に?」
夢音「もちろん」
希羽「その手紙の送り主さんには?」
夢音「……昔はこの人だけがその相手だったけど」
希羽「あっわかった。ファン第1号とか」
夢音「えっ」
希羽「当たった?」
夢音「……う、うん……」
希羽「なぁんだ~! それなら一番大事でも仕方ないよぉ、そうだったんだね。ほら、はやくカバン持って、忘れ物ないね? 移動するよ~」
夢音「あ、うん! すぐ行くよ!」

ファン「追伸。
これから話すことは、もはや1ファンでもない、仕事に日々忙殺される中年男の夢のような話ですので、読み流してくださってかまいません。ですが、どうしても書かずにはいられませんでした。
前回ファンレターを書かせていただいたとき、それに対してご返信が届きました。夢音ちゃんから。そのご返信の字は確実に手書きされたもので、心苦しく思いながら行の端の字を強くこすると、インクのにじみも確認しました。印刷されたものでなるような跡ではありません。印刷物を毎日扱っているのでわかります。そしてその筆跡はこれまで何度も何度も繰り返し見て文面も覚えた、イベント展示で掲載された貴女のお手紙の筆跡と同じ癖を持つものでした。
もちろん、そのイベントで展示されていたお手紙を書いた方が書いてくださったものなのだろうとは予想されますが、ではどうしてその方は書いてくださったのでしょうか。そのお手紙の内容は、とても、思わず歓喜で泣いてしまうほど、これまでの私の身勝手なファンレターを読んでくださった上でのものでした。運営の粋な計らいでしょうか。
まさか、二次元に生きる貴女から、三次元にいる私からのファンレターが届くわけなんてないのですから。
明日死んでもいいと思うほどに、幸せな夢を見せていただきました。貴女には少々気持ち悪いかもしれませんが、密かにしていた、できるだけ表に出さないように気をつけていた、中年男の妄想が現実になったようなものなのです。
いつにも増して長文で申し訳ありませんでした。
どうか夢音ちゃんに、幸せな夢が訪れますように。貴女のことが大好きです。」

夢音「……夢でもいいよ。夢の音を届けるのが私のお仕事だからね」
希羽「なんか言ったー?」
夢音「希羽ちゃん、今日もがんばろうね」
希羽「はぁ? 当たり前でしょ? がんばらないライブなんてないよ」
夢音「ふふ、ほんとだね。でもさ、今日は特に、ほら、新曲発表の日だからさ」
希羽「もしかして、振り間違えないか緊張してるってことかぁ~? リハじゃ1回しか確認できないからね、不安なとこあったら移動中に聞いてよ」
夢音「ううん、大丈夫だよ。だっていっぱい練習したもん!」
希羽「お、なら安心か。……あ、そういえば、次あそこの会場だから、いつものあの人いるんじゃない?」
夢音「えっ!?」
希羽「わっなに。声裏返ってんじゃん」
夢音「そ、そうだね、いるかもね……」
希羽「あの人最初っからいてくれてるもんね。雰囲気的に、私たちみたいな地下アイドル好きそうじゃないのに、なんでだろうね?」
夢音「好きに理由なんてないでしょ?」
希羽「お、かっこいい。でもなんかあるかもよ、今度ぜひ訊いてみたいね。あ、あと、そういえばずっと最前列譲らなかったのに、最近ちょっと後ろの方とか端の方とかにいるよね。ちょっと興味薄れちゃったのかな……」
夢音「そ、そんなことない! と、思うよ? ほら最近若いファンが増えてきてくれてるじゃない? だからその子たちに配慮してくれてるのかも。うん。私はそう思ってるよ」
希羽「マジ? めっちゃいい人だよね~。変なことしてこないし、ずっと見守ってくれてるって感じ」
夢音「うん、そうだよね。……ね、がんばろうね」
希羽「その人のために?」
夢音「もういじわる! ファンみんなのためにだよ!」


チャレンジ成功……と言いたいところですが失敗です。1時間オーバーしちゃいました、てへ。

ただ作品としては、久しぶりに気に入ったものが書けました。私が軽くではありますが推し事をしているので、そういうオタク的な話しか満足に書けないのはあまりよくないことだとは思っているのですが、まぁ、気分がノらないときだけは許してほしい気持ちです。

いろんなオタク(ファン)がいるので一概には言えないのですが。推しからの個別の返信なんて望んでないけど、そんな高望みはしないけど、ただあなたに言葉を届けたい、と思う方は一定数いるんじゃないでしょうか。私はそのタイプなのです。推しとファンって素敵な関係だなと思うわけです。思いたいだけかもしれませんけど。ファンが推しを傷つけることがないように気をつけて推し事していきたいですね(こう書くとこの方面で悲しいことがあったように思われそうですが、そうではないですよ。自戒です)。

それでは本日はこのへんで。もしこういう話を読んでみたいとか、もう少し説明してとか、いろいろお話したいこと、聞きたいことがありましたら、コメント欄に書いてくださったらうれしいです!

急に秋が来たような気温ですね。私は秋が大好きなのでこのままずっと続けと思っています。風邪など召されませぬよう。


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