ラジドラ台本ワンライチャレンジby花屋敷 第9作目

おはこんばんは! 放送班・制作班・広報班所属文学部1回生の木村英です。

あったかく感じる日が続いたと思えば、雨が連日降ってからはちょっと寒いなぁと思っています。ただ雨が止んで湿気を感じるときには、春の草っぽい香りもするようになりました。確実に春は近づいているのですね。家の近くに大きな桜の木がある小さな公園があって、小学生のときなんかはそこでお花見をしていたものです。今年はいつ咲くのでしょう。

ちなみに、私は暑がりなので、春が近づく=夏も近づくということで、ちょっと嫌だなぁとも思っています。

そして。桜が咲いた方は、おめでとうございます🌸

また、今年咲かなくても、人生はまだ続きます。咲くチャンスは、まだ残っているんですよ。


さて、今週の「ラジドラ台本ワンライチャレンジby花屋敷」のお時間です。第9作目!個人的かっこいい1桁の数字第1位です。以下テンプレ。

このコラムは”花屋敷”というペンネームを使っている私、木村英が1時間でがんばってラジドラ台本書くぜ!というものです。より詳細な説明は第1作目で無駄に長く書いているので、気になる方はそちらを確認していただけると幸いです。

またチャレンジするにあたり、2つの外部サイトを使って台詞の縛りをつけています。

①診断メーカー様『こんなお話いかがですか』:診断結果で出た始めと終わりの一文を必ず使います。

②お題ガチャ様『ひとこと台詞ガチャ』:ガチャ結果で出た台詞を途中で必ず使います。

今回は①意図せ漏れた溜息に、傍らのその人が顔を上げた」で始まり「もう随分昔の話だ」で終わる。そんなにあいつがいいの?です。完全に地の文始まりです。ナレーションという手をとるしかありません。以下に載せる台本は1時間で制作したものです。誤字脱字誤用等あるかもしれませんが、お許しを。よ~い、スタート!


人物設定(台本執筆後)

  • 千草(ちぐさ):女性。一花とは高校からの親友。自分とは違って、ひとつのことに熱中できる一花のことが好き。
  • 一花(いちか):女性。千草とは高校からの親友。自分とは違って、なにごとにも臨機応変に対応できる千草のことが好き。
  • 怜也(れいや):男性。一花が恋心を寄せている。(しゃべりません)

ナレ(一花)「意図せず漏れた溜息に、傍らのその人が顔を上げた
千草「どうしたの」
一花「え、なに?」
千草「一花、ため息吐いてたよ」
一花「気づかなかったや、ごめんね千草ちゃん」
千草「いいけどさ」
一花「……」
千草「……」
一花「……はぁ」
千草「……」
一花「……あーあ……」
千草「……」
一花「……どうしよ」
千草「うるっさいなぁ!?」
一花「えぇ!?」
千草「これ見よがしにため息吐いてくるな!」
一花「これ見よがし!? そんなつもりないよ!」
千草「ならため息吐くな!」
一花「出ちゃうもんは出ちゃうんだよ!」
千草「隣でずっとはぁはぁ言われたら気が散るんだよ」
一花「じゃあ、『どうしたの? 話聞くよ』って言ってよ!」
千草「うざい」
一花「ひどい!」
千草「……」
一花「ねぇ」
千草「……はぁ」
一花「!」
千草「どうしたの、話聞くよ」
一花「わぁすっごい棒読み」
千草「文句言うな」
一花「うん、ありがとうだね」
千草「はいはい」
一花「あのね、千草ちゃん怜也くん知ってる?」
千草「……一花が前言ってた必修の授業がことごとく同じクラスになるっていう、怜也?」
一花「そう! もうすぐさ、バレンタインじゃん」
千草「そうね」
一花「それでね、怜也くんにね……、……キャー!」
千草「急におっきな声出すな……。なんで今照れるんだよ。それで? 渡したいのね、そいつに、チョコ」
一花「そうなの! ねぇ引かれるかな? 大丈夫かなぁ?」
千草「大丈夫でしょ」
一花「千草ちゃんちゃんと考えて!」
千草「関係ないしなぁ」
一花「千草ちゃんにもあげるから!」
千草「私にもくれるからなんだって言うんだよ……」
一花「大学生にもなってバレンタインに浮かれてる女とか思われない?」
千草「被害妄想強すぎ。大学生だって働いてる人だって誰だって乗っかってると思うよ、バレンタインに」
一花「そう? じゃあ……渡そう、うん、決めた」
千草「はいよかったね」
一花「ねぇねぇ、何あげたらいいかな。手作りは重いかな」
千草「……そんなにあいつがいいの?
一花「え、うん!」
千草「……そ。付き合いたいんなら、手作りでもいいんじゃない?」
一花「つ、付き合う……! そ、そうだよね……」
千草「付き合いたいわけじゃないの?」
一花「へっ? え、えと、まずは、もっと仲良くなってからかなって、おも、ってた……」
千草「じゃあ、既製品でもいいかもね。それで相手の出方伺ってみるのもありじゃん」
一花「そうかな、え、どうしよっかな……」
千草「……まぁ、告白はせずに、でも手作りを渡して意識はしてもらう、っていう手もあるかな」
一花「わ、なるほどね! 千草ちゃん、いっぱい出てくるね……」
千草「……そうね。一花は、手作りするってなっても大丈夫なの?」
一花「え? 大変かってこと? 全然大丈夫だよ。今年も千草ちゃんにあげるの作るし、一緒に作れば」
千草「あぁ……、そっか」
一花「え! もしかして今年は千草ちゃん私にくれない? 大学生になったから友チョコ交換してくれない……?」
千草「だから大学生にどんな印象持ってんの一花は。さっきも言っただろ? 大学生だってバレンタインに乗っかるよ」
一花「じゃあ作ってくれる?」
千草「作る作る。もらいっぱなしはないよ」
一花「よかった!」
千草「……はいはい」
一花「よし。じゃあ、えっと、告白は、まだしない。うん。もっと仲良くなりたいっていうことでチョコ渡そう。そういう手紙も書こっかな。そして手作りする! 意識してもらう! がんばる!」
千草「がんばれがんばれ。まぁそもそもの話をするなら、その怜也がチョコを嫌いじゃないかどうかも考えないといけないってことかな」
一花「ふふん、それは大丈夫! リサーチ済みなのです」
千草「へぇ?」
一花「クリスマス頃にね、お話の流れでケーキとか甘いもの好き? って聞いてたの。そしたら『チョコケーキが一番好き』って言ってたの! だからチョコも好きなはず、しかもかなり」
千草「そお」
一花「うん!」
千草「……渡せたらいいね」
一花「がんばるから応援してね!」
千草「はいはい」
一花「それと今年のチョコも楽しみにしててね!」
千草「うん、楽しみにしてる」

(時が経って)(ヒールの音、駅前)
一花「……千草ちゃん!」
千草「一花、こんばんは、おつかれ」
一花「おまたせしました~、ごめんね、ちょっとだけ仕事が長引いちゃって……。千草ちゃんもおつかれ、寒かったでしょ? どこか入ってくれててもよかったのに」
千草「大丈夫だよ。それに、一花は待ち合わせしてるんでしょ」
一花「え、えへへ……」
千草「怜也はいつ来るの?」
一花「んー30分後くらいかな。ふふ、あっちも残業だって。私たちバレンタインに定時上がりできないんだよ~」
千草「独り身の私が定時なのにね」
一花「千草ちゃんのいい人もはやく現れればいいのにね。その人が一番の遅刻だよ」
千草「私はいいんだよ」
一花「え~? じゃあ、独り身の千草ちゃんには、この聖なる日に私から手作りチョコをあげましょう」
千草「聖なる日って普通クリスマスじゃない? どうも。はい、速攻お返し、これ一花の」
一花「やったぁ! 今年ももらっちゃった!」
千草「そんなに喜ぶことかね……」
一花「私はすっごく嬉しいよ! ……はっ! 千草ちゃんにいい人が現れたら私千草ちゃんからチョコもらえなくなる……?」
千草「なんでよ。一花も彼氏いるけど私にもチョコくれるでしょ。私もそうするよ、もし、恋人ができたとしても」
一花「よかったぁ。千草ちゃんのチョコ毎年楽しみにしてるから、なくなったらいやだもん」
千草「……なんで?」
一花「え?」
千草「なんで、楽しみにしてくれるの?」
一花「え、だって千草ちゃんが好きだから」
千草「……はは」
一花「え? なに!? え、もしかして千草ちゃんは、私のこと嫌い……? もうチョコ作りたくなかった? 私のチョコ欲しくなかった……!?」
千草「ううん、ははっ、ふ、大丈夫大丈夫、ふふっ」
一花「なんでそんなに笑うの!? どこにツボるところあった!?」
千草「はははっ、大丈夫、心配しなくても作るよ。作るし、欲しいと思ってるよ」
一花「ほんとに? もう、笑ってないで!」
千草「ほんと。嬉しいよ、一花が私にチョコ作ってくれるの。私も毎年楽しみにしてる」
一花「ほんとかなぁ? 千草ちゃんめちゃくちゃ笑うし、なんか信じられないなぁ? ……っと」
千草「電話? いいよ、出なよ。どうせ怜也でしょ」
一花「うん、ふふ、『どうせ』って言わないであげて。ちょっとごめんね」
千草「うん」
一花「もしもし? うん、今? 駅前の広場にいるよ。……えっ、残業終わったの? 時間かかりそうって言ってなかった? ……ふふ、もう。うん、……うん、わかった。じゃあ、待ってるね」
千草「……思ったより早く来れそうなんだ?」
一花「うん、そうみたい」
千草「じゃあ、それまで一緒にいるか?」
一花「もちろん! 久しぶりに会えたんだし。短くなっちゃうけど、いっぱいしゃべろ」
千草「うん」

モノローグ千草「その10分後くらいに、怜也が来た。走ってきたようでぜぇぜぇ言ってて、一花に笑われてた」
モノローグ千草「私は一花たちと別れて、帰路についた」
モノローグ千草「家に帰ってきてから、一花にもらったチョコを開けた」
モノローグ千草「毎年もらってる、一花からの手作りチョコ。私も一花に毎年手作りをあげてる」
モノローグ千草「この気持ちを言うつもりはなかった。ただ、意識してもらいたくて、一番の仲良しでいたくて」
モノローグ千草「だから、今だって一花たちがうまくいってることを喜べるんだ」

千草「……あま」

モノローグ千草「一花のチョコを食べて、心が痛かったのなんて、もう随分昔の話なんだから


チャレンジ成功だと思います!個人的には、結構お気に入りの話になりました。

時季外れのバレンタインデーのお話。みなさんは甘い話等々あったのでしょうか?私は毎年のごとく母と一緒に父と兄にチョコをあげて、ホワイトデーに2人からお返しのスイーツをもらいました。

千草ちゃんにとってはほろ苦いお話だったかもしれません。その「ほろ苦い」のは昔の話かもしれません。ちょっと特殊かもしれない、でもきっと自然な話。

それでは本日はこのへんで。もしこういう話を読んでみたいとか、もう少し説明してとか、いろいろお話したいこと、聞きたいことがありましたら、コメント欄に書いてくださったらうれしいです!

また来週、3月の終わりに会いましょう。


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